神経細胞、神経伝達物質とは?

うつ病と聞けば、まず最初に思い浮かぶのが「神経伝達物質」ではないでしょうか?
2000年代初期あたりは、「うつ病はセロトニンの減少によって起こる」といったフレーズとともにうつ病の認知が広がっていきました。
私は、高校のとき生物を履修していなかったので、うつ病を発症していた当時は何をいっているのかさっぱり理解できませんでした。(トランスポーターやら受容体やら聞いても素人には??状態)
生物を履修していなかった方は、恐らくよく分からない方も多いのではないでしょうか?
ということで、そんな方のために簡単に神経細胞と神経伝達物質のことから説明を始めたいと思います。
神経細胞(ニューロン)
人体の基本単位は、細胞で形成され、大人でその数60兆個以上とも言われています。
脳の細胞は、ニューロンと呼ばれる「神経細胞」と、神経細胞を覗いた細胞の総称「グリア細胞」に分類されます。
神経細胞の多くは脳に分布しており、その数は大脳で数百億、小脳で800億個以上という膨大な神経細胞同士がつながり合って脳内でネットワークを形成しています。
神経細胞は、中心に細胞核を持つ細胞体、その周囲から伸びる樹状突起、細長い1本の軸索で構成されています。
樹状突起は、他の神経細胞からきた情報を受け取る部分で、軸索は他の細胞に情報を送る役割をもっています。
その情報は電気信号で送られるため、漏電防止のため軸索にはミエリン鞘と呼ばれるオリコデドロサイト(グリア細胞)によってつくられた脂肪で被われています。
軸索の先端は枝分かれし、シナプスと呼ばれる他の神経細胞とのつなぎ目部分があり、その先端で神経伝達物質を放出して他の細胞に電気信号として情報を伝えます。

シナプスとシナプス間隙
神経細胞同士は、お互いが手を取り合って結びつき、数珠状のように繋がりネットワークを構成しています。
しかし、完全には結びついておらず、受けてと送り手との間のつなぎ目には、数百万分の1mm程度のわずかな隙間が存在しています。
神経細胞同士のつなぎ目をシナプスといい、この隙間を「シナプス間隙」といいます。
神経細胞は電気信号で情報を伝達していますが、このシナプス間隙は隙間となっているため、電流が流れることができません。
その代りに伝達を行ってくれるのが「神経伝達物質」です。

神経伝達物質
神経伝達物質の種類は100種類以上にのぼり、脳内のどこの部位かの神経細胞かによって伝達物質の種類も異なっています。
その種類によって眠気、イライラ、爽快感といった精神状態のコントロールや、自律神経を調整するなど、様々な役割を果たします。
精神疾患と深い関わりのある神経伝達物質、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンとヒスタミンを合わせた総称を「モノアミン」といいます。
神経細胞の軸索を経由してきた電気信号がシナプスに到達すると、シナプス小胞に保管された神経伝達物質が放出されます。
放出された神経伝達物質は、シナプス間隙を伝達し他細胞へ到達すると電気信号へ変換されて、細胞間で電気信号の伝達が行われています。
以下は、そのプロセスについての流れです。
①軸索から電気信号流入
軸索からシナプスに通ってきた電気信号が到達すると、シナプスに電位差が生じる。
②カルシウムイオン取組み
シナプスに生じた電位差により、カルシウムイオンがカルシウムチャネルを通ってシナプス内に流入。
③シナプス小胞開口
カルシウムイオンはシナプス小胞に刺激を与え、開口して神経伝達物質をシナプス間隙に放出。
④神経伝達物質の伝達
神経伝達物質は他細胞にある受容体(レセプタ)に到達し、シナプス間隙にあったナトリウムイオンなどがレセプタ内に取り込まれ他細胞に電気信号が流れる。
⑤神経伝達物質の回収
受容体に到達した神経伝達物質はトランスポーターに回収され、再度シナプス小胞内に貯蔵される。

神経細胞と神経伝達物質の役割
情報は電気信号(電流)で、神経細胞を通して体内を伝わっていくため、神経細胞は電気回路の電気配線のような役割を担っていることになります。
しかし、電流は隙間があるとそこで流れなくなるので、神経伝達物質がシナプス間隙を往来し、電気信号を伝える伝令役的役割を果たしているのです。

セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンと精神状態との関係
セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンは、それぞれ、精神状態と関わる神経伝達物質です。
ドーパミンは「快楽」、「ノルアドレナリン」は意欲、「セロトニン」はすっきり感に関わっています。
しかし、これらの症状は適度な分泌量で起こる状態であって、過剰もしくは過小であると、症状が悪化してしまいます。
セロトニンを高めることは抗うつ薬販売宣伝のために過剰にポジティブな印象が持たれていますが、抗うつ薬のカルフォルニアロケット処方、セント・ジョーンズワートサプリメントなどの過剰摂取により「セロトニン症候群」といった症状をもたらすことになるので注意が必要です。
※抗うつ薬は、「定型うつ、メランコリータイプ鬱」の症状を緩和するために開発されたものです。
「同じうつ」とはいっても、セロトニンの減少のないような非定型うつ、パニックや新型うつタイプ、うつ病ではない人が服用するとセロトニンが過剰になって症状が悪化します。
